登録の期限は満了の30日前で締め切られる ― 住宅宿泊管理業者の登録制度を条文から読む

公開: |運営: ubusuna works

民泊の管理を人に頼むとき、頼む相手が国の登録を受けているかどうかを確かめる。そこまではやっている方が多いと思います。ただ、その登録が「いつ取られたものか」まで見ている人は、あまりいない。

この登録には期限があります。しかも、切れる直前に慌てて手続きをしても間に合わない作りになっている。

5年で切れる。その手前に、もう一つの締切がある

住宅宿泊管理業(=民泊オーナーに代わって部屋の管理や宿泊者への対応を引き受ける仕事)を営むには、国土交通大臣の登録を受けなければならない。住宅宿泊事業法第22条第1項です。

そして同じ条文の第2項に、登録の有効期間は5年と書いてある。5年ごとに更新を受けなければ、期間が過ぎた時点で登録は効力を失います。

問題は、その更新をいつ申し込むかです。施行規則の第3条が、受付の窓を明確に区切っています。

見落としやすいところ

更新の申請書を出せるのは、いま持っている登録の有効期間が満了する日の90日前から30日前までの間だけです。満了日の1週間前に気づいても、もう窓は閉じています。

早すぎても、遅すぎても受け付けられない。60日間しかない窓を逃すと、登録は期間の経過によって失われます。管理業者にとっては、仕事そのものが止まるということです。

もっとも、この期間内にきちんと申請していれば、審査が長引いても宙に浮くことはありません。第22条第3項が、満了日までに処分(許すか許さないかの決定)が出ない場合は、決定が出るまでの間は前の登録がそのまま効き続けると定めています。締切さえ守れば、あとは待てばいい。逆に言えば、守らなかった場合の救済は書かれていない。

委託先を選ぶとき、登録番号だけでなく登録の日付を見ておく意味は、ここにあります。あと数か月で5年目を迎える業者なら、更新の予定を一度聞いておいて損はありません。

断られる理由が、11個並んでいる

登録の申請は、出せば通るものではない。法第25条第1項が、こういう人・こういう会社は登録しない、という条件を第1号から第11号まで並べています。

順に見ていくと、性格の違う三つの束に分かれます。

一つめは、本人の状態を見るものです。心身の故障で業務をきちんと行えない人(第1号)、借金の整理の手続きが始まってまだ立ち直りの決定を受けていない人(第2号)。ここは本人の事情であって、悪いことをしたかどうかとは別の話です。

二つめが、過去の行いを見る束。登録を取り消されてから5年たっていない者(第3号)、拘禁刑以上の刑を受けた、あるいはこの法律で罰金を科されて、その執行が終わってから5年たっていない者(第4号)。ここでも5年という数字が出てきます。有効期間の5年とは全く別のものなので、混ぜないほうがいい。

そして暴力団に関わる条件が二か所に置かれている。暴力団員などが申請してくる場合(第5号)と、表向きは別の人が申請していても、その事業を実際に動かしているのが暴力団員などである場合(第9号)。後者は、名義だけ替えても通さないという構えです。

第6号は少し毛色が違います。「不正または不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」。過去の有罪判決のようなはっきりした事実ではなく、これからやりかねない、という判断で断ることができる。裁量の幅がある条文です。

第7号と第8号は、その人自身ではなく周りを見ます。未成年で、代わりに契約を結ぶ立場の人(法定代理人)が今までの条件に当てはまる場合。そして法人なら、役員の中に一人でも当てはまる人がいる場合。会社として申請するなら、役員全員の身辺が問われるということです。

残る第10号と第11号は、お金と体制の話。ここは省令が具体的な線を引いているので、項を改めます。

お金の条件は、意外なほど素朴だった

第10号は「必要な財産的基礎を有しない者」を断る、と書いてあるだけで、いくら必要かは法律に書いていません。省令の第8条が、その中身を二つに絞っています。

一つめ

借りているお金などの合計が、持っている資産の合計を超えていないこと。つまり、資産をすべて処分すれば借金を返せる状態であること。

二つめ

支払不能に陥っていないこと。手元のやりくりがつかず、期日の支払いを続けられなくなっている状態ではないこと。

資本金がいくら以上、といった金額の下限はありません。小さな会社でも、帳簿の上で借金が資産を上回っていなければ、この条件は満たせる。

裏返すと、この条件は「今、赤字かどうか」を見ていない。ある年に赤字でも、これまでに積み上げた資産が借金を上回っていれば通ります。オーナーの立場で管理会社の体力を測る材料としては、この二つだけでは足りない、というのが正直なところです。

2年やってきたか、講習を受けたか

最後の第11号、「業務を的確に遂行するための必要な体制が整備されていない者」。これも省令が具体化していて、第9条第1号が、業務に当たる人の経験や知識について道を示しています。

  1. 管理を引き受ける契約の実務について、国土交通大臣が登録した「登録実務講習」を修了している
  2. または、人が住むための家屋の取引や管理の実務に、通算で2年以上たずさわってきた
  3. または、これらと同じ以上の力があると国土交通大臣が認めた

注意したいのは、2年の実務が「民泊の管理」に限られていない点です。人の居住用の家屋の取引・管理であればいい。賃貸の仲介や管理をやってきた不動産会社が、その経験のまま民泊の管理業に入ってこられる作りになっています。

これは制度の設計としては合理的でしょう。鍵の受け渡し、苦情への対応、設備の手配。賃貸管理で身につくものと重なる部分は確かに多い。

ただ、宿泊者が数日で入れ替わることや、外国語での連絡、深夜のトラブルへの対応は、賃貸管理の2年では必ずしも経験しません。条文が求めているのは最低限の線であって、あなたの物件に合う相手かどうかは別に確かめる必要がある。ここは委託する側の仕事として残ります。

もう一つ、実務的に効いてくるのが従業者証明書です。法第37条は、業務に従事する従業者に証明書を携帯させなければならないと定めていて、この証明書の有効期間も5年以下とされています。現場に人が来たとき、証明書の提示を求めるのは失礼なことではありません。制度がそう作られている以上、当然の確認です。

委託先に聞くなら、この三つ

冒頭に戻ります。登録番号の有無だけを見て安心していた方には、確かめる材料が三つ増えました。

登録がいつ取られたもので、次の更新の窓(満了日の90日前から30日前)がいつ来るのか。決算の書類で、借金が資産を上回っていないか。そして現場に立つ人が、2年の実務を積んできた人なのか、講習を修了した人なのか。

どれも法律と省令に書かれた条件をなぞっているだけで、無理な質問ではありません。答えを渋る相手なら、その反応自体が判断材料になります。

残るのは第6号、「不誠実な行為をするおそれ」をどう見るかという話です。国はここを裁量で判断できますが、オーナーが委託先を選ぶ段階では、そんな権限も情報もない。契約書の書きぶりや、質問への答え方から推し量るしかない。ここだけは条文が助けてくれない部分です。

出典は、e-Gov法令検索の住宅宿泊事業法国土交通省関係住宅宿泊事業法施行規則、および国土交通省の住宅宿泊事業法に基づく民泊の管理業制度について

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