管理委託の義務(家主不在型)

住宅に住宅宿泊事業者本人が住んでいない、または不在の時間が長い場合、管理業務を登録業者に委託することが法律上の義務になります。

結論

家主不在型の住宅宿泊事業(民泊)では、国土交通省に登録された住宅宿泊管理業者へ管理業務を委託することが、住宅宿泊事業法で義務づけられています。

例外

家主居住型で、届出住宅に住宅宿泊事業者本人が居住し、かつ宿泊者の滞在中の不在が短時間にとどまる場合は、委託義務がありません。

出典: 国土交通省・観光庁「住宅宿泊事業法」関連ページ / 最終更新: 2026年8月30日

清掃スタッフが民泊の客室でベッドメイキングをしている様子

条文は e-Gov法令検索のAPIから直接取得して確認しました(2026年8月30日取得)。 引用は原文のままで、まとめたものには「要約」と書いています。

委託が必要になるのは「2つのうちどちらかに当たるとき」

「家主不在型なら委託が必要」と説明されることが多いのですが、 条文はそう書いていません。住宅宿泊事業法第11条第1項が挙げているのは 2つの要件で、どちらか一方に当たれば委託義務が生じます(要約)。

  1. 届出住宅の居室の数が、国土交通省令・厚生労働省令で定める数を超えるとき (1人で全部の居室を管理すると適切な実施に支障が出る規模、という考え方)
  2. 宿泊させる間、不在となるとき (一時的なものとして省令で定めるものを除く。また、自宅と届出住宅の距離などから 委託しなくても支障が無いと認められる場合として省令で定めるときも除く)

①は「家主が住んでいるかどうか」と関係がありません。 家主が同居していても、居室数が基準を超えれば委託義務が生じます。 「家主居住型だから委託は不要」という理解は、①を見落としています。

ただし書き:自分が登録業者なら、自分で管理してよい

第11条第1項には、次のただし書きが付いています。

ただし、住宅宿泊事業者が住宅宿泊管理業者である場合において、 当該住宅宿泊事業者が自ら当該届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を行うときは、この限りでない。

つまり、ご自身が住宅宿泊管理業の登録を受けていれば、他社に委託する必要はありません。 登録を受けずに「自分で管理する」ことはできない、というのが条文の立て付けです。

委託すると、法律上の義務の担い手が入れ替わる

ここは見落とされがちですが、実務上いちばん大きい効果です。 第11条第2項が、こう定めています(要約)。

第五条から前条までの規定は、住宅宿泊管理業務の委託がされた届出住宅において 住宅宿泊事業を営む住宅宿泊事業者については、適用しない。

そして第36条により、同じ第5条〜第10条が委託先の住宅宿泊管理業者に準用されます。 委託すると、次の義務がオーナー様から管理業者へ移ります。

義務の内容
第5条宿泊者の衛生の確保(各居室の床面積に応じた宿泊者数の制限、定期的な清掃ほか)
第6条宿泊者の安全の確保(非常用照明器具の設置、避難経路の表示ほか)
第7条〜第10条外国人観光旅客への対応、宿泊者名簿の備付け、周辺地域の生活環境への悪影響の防止、苦情等への対応

委託は「手間を代わってもらう」だけでなく、法律上の名宛人が替わることを意味します。 委託先が何をどこまでやるかを契約で詰める理由がここにあります。

住宅宿泊管理業者とは(第2条第6項・第7項)

条文の定義はこうです。

「住宅宿泊管理業」とは、住宅宿泊事業者から第十一条第一項の規定による委託を受けて、 報酬を得て、住宅宿泊管理業務を行う事業をいう。
「住宅宿泊管理業者」とは、第二十二条第一項の登録を受けて住宅宿泊管理業を営む者をいう。

登録を受けている業者かどうかは、国土交通省の登録簿で確かめられます。 当サイトは、その登録簿を転記して登録簿の一覧にしています。

委託先を選ぶときに確かめる6項目(第34条)

何を確かめればよいかは、法律が答えを出しています。 第34条は、管理受託契約を締結したときに管理業者が委託者へ交付しなければならない書面の 記載事項を定めています。この6つは必ず書面に載るので、契約前に同じ順で聞けばよいということです。

  1. 住宅宿泊管理業務の対象となる届出住宅
  2. 住宅宿泊管理業務の実施方法(どこまでを、どうやって行うか)
  3. 契約期間に関する事項
  4. 報酬に関する事項(清掃費・消耗品費が別か込みかは、ここで決まる)
  5. 契約の更新又は解除の定めがあるときは、その内容
  6. その他 国土交通省令で定める事項

書面の交付は「遅滞なく」と条文が定めた義務です。交付されない場合は、その時点で確認してください。 費用の水準そのものについては運営代行の費用と手数料相場にまとめています (当サイトが伺えた実額のみを、回答数を明記して出しています)。

このページで分からないこと

  • 「居室の数」の具体的な数。第11条第1項第1号は省令に委ねており、 このページでは条文の構造までを扱っています
  • 「一時的な不在」の範囲。同項第2号も省令に委ねられています
  • 自治体の上乗せ規制。条例で営業日数や区域が制限されることがあり、 京都市のような駆けつけ要件は自治体ごとに違います

本記事は住宅宿泊事業法・国土交通省公表資料に基づく一般的な解説です。個別の運営形態への適用は専門家・自治体窓口にご確認ください。

よくある質問

家主不在型の民泊で管理委託は義務ですか?
家主不在型の住宅宿泊事業(民泊)では、国土交通省に登録された住宅宿泊管理業者へ管理業務を委託することが、住宅宿泊事業法で義務づけられています。
自分で管理することはできますか?
家主居住型で、届出住宅に住宅宿泊事業者本人が居住し、かつ宿泊者の滞在中の不在が短時間にとどまる場合は、委託義務がありません。家主不在型では、住宅宿泊管理業の登録がない者が管理業務を行うことはできません。
住宅宿泊管理業者はどこで探せますか?
国土交通省の住宅宿泊管理業者登録簿に基づく一覧を、当サイトの業者データベースで都道府県・市区町村から検索できます。
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