24時間対応を、3つに分けて聞く
公開: |運営: ubusuna works
この記事の結論
「24時間対応」は、電話が繋がる・その場で判断できる人が出る・人が現地へ向かう、の3段に分かれます。確認が取れた20社のうち、受付を24時間とする社は8割いますが、深夜に人が動くと明記した社は2社にとどまります。委託しても苦情対応の義務(法第10条)は消えず、事業者から管理業者へ移ります。
誰向けか: 「24時間対応」の表示だけで委託先を決めようとしている、家主不在型のオーナー様
- 電話が繋がる時間と、現地に人が来る時間は別のものとして確認する
- 深夜対応が標準料金に含まれるか、別料金かを見積もり時に確認する
- 委託しても苦情対応の義務は事業者から管理業者へ移るだけで消えないことを理解しておく
深夜、宿泊者の物音に苦情の電話が近隣から入ったとする。管理会社のページには「24時間対応」とある。だから、電話をかければ誰かが動いてくれるに違いない。そう読むのが自然だろう。
ところが「24時間対応」という言葉が指しているのは、いつも同じ中身ではない。電話が繋がることと、その場で状況を判断できる人が出ることと、人が実際に現地へ向かうことは、別の話である。
「対応」は一段ではない
3つに分けて考えると分かりやすい。①電話が繋がる。②繋がった先で、対応が必要かどうかを判断できる人が出る。③必要と判断された場合に、人が現地へ向かう。
苦情の多くは①で片付く。「うるさいと感じた」という電話に「承知しました、宿泊者へ伝えます」と返すだけで収まる話は少なくない。だが、宿泊者が電話に出ない、鍵が壊れて中に入れない、といった場面で要るのは③である。①だけを指して「24時間対応」と書いても、嘘にはならない。読む側が③まで含めて受け取ってしまうところに、隙間がある。
受付は八割、言葉にした社は2社
民泊ビトは掲載事業者に確認のメールを送り、ご本人の回答を掲載ページに反映している。2026年9月7日時点で確認が取れているのは20社。うち10社が、対応業務を項目ごとに○×で答える新しい確認に応じている。
この10社に絞って「24時間・365日の受付」を見ると、○が8社、×が2社だった。数字だけ見れば、24時間対応はもう珍しくない。
回答の中身
○の内訳は揃っていない。「通常のメール対応は21時まで、緊急の電話だけ24時間」と注記を添えた社もあれば、注記なしの社もある。×と答えた社の一つは、標準の受付時間外は応じない代わりに、有料の夜間緊急対応サービスを別に案内していた。○×の一文字は、営業時間の区切り方まで揃えたうえでの回答ではない。
そのうえで、③まで踏み込んで「夜間」という語を使い、現地への駆けつけを言葉で説明していた社は、確認が取れた20社のうち2社だった。片方は前段の有料オプション、もう片方は標準の業務内容として書かれている。残りの大多数は、①の受付時間は書いていても、③が深夜にどう動くかまでは書いていない。書かれていないことは、対応できないことの証明にはならない。ただ、確かめずに契約すれば、いざという夜に初めて分かることになる。
現地対応そのものを○と答えた社は、10社中10社だった。だから「現地には来られる」までは、聞けばほぼ揃う答えになる。ただし対応エリアは区や市の単位で区切っている社がほとんどで、日中に現地へ来られる範囲と、深夜にも同じ範囲で動けるかは、別の話として残る。ここを一つの質問にまとめてしまうと、答えは揃っているのに中身が違う、という取り違えが起きる。
義務は、深夜も同じ条文の中にある
苦情対応は好感度の話ではなく、住宅宿泊事業法第10条が定める義務である。条文は「届出住宅の周辺地域の住民からの苦情及び問合せについては、適切かつ迅速にこれに対応しなければならない」と定めていて、対応すべき時間帯を区切っていない。深夜であっても、宿泊者が原因で近隣が困っているなら対応の対象に入る。
家主不在型で管理を委託した場合、この義務は消えるわけではない。第11条第2項が事業者側の義務適用を外し、第36条が同じ範囲を管理業者に準用する。委託した時点で、苦情対応の義務は事業者から管理業者へ移る形になる。つまり「深夜対応の体制」を尋ねたときの答えは、委託先の実際の体制そのものを指す。この委託と義務の移り方は、深夜2時の苦情電話は誰が取るのかで条文を追って書いた。
深夜対応は、契約書より先に聞く
見積もりの段階で聞いておくと、後の食い違いが減る問いが3つある。
- 電話が繋がる時間帯と、その先で誰が判断するか
- 現地に人が来る場合、到着までの目安と対応エリアの範囲
- 深夜・緊急時の対応が標準料金に含まれるか、別料金か
3つめを見落とす人が多い。○×の一覧表では料金が別建てかどうかまでは分からず、契約書の細則まで読んで初めて分かることが多いからだ。法定業務そのものは登録のある会社ならどこも同じ義務を負っている。差がつくのはその果たし方で、10項目に分けて集計した内訳は管理会社を比べる10項目にまとめてある。
「24時間対応」という3文字を見て安心するのではなく、①②③のどこまでを指しているのかを、契約前に自分の言葉で聞き直す。それだけで、深夜に起きる側と起きない側が分かれる。
出典
- 住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号)第10条「苦情等への対応」・第11条第2項・第36条 — 厚生労働省法令等データベースサービス https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=68ab5981&dataType=0&pageNo=1 (2026-09-07取得)
- 民泊ビト 掲載事業者へのご確認回答(対応業務10項目・掲載内容確認メール、2026-09-07時点で確認済み20社・うち10項目での回答10社)
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