管理会社を比べる10項目 ― 法定業務を数えても差がつかない

公開: 2026-08-27|運営: ubusuna works

この記事の結論

住宅宿泊事業法が定める7つの管理業務は、登録のある会社なら全社が担う義務を負っています。比較に使えるのは、それをどう果たすか(現地へ行くか、24時間受けるか、何語で対応するか)と、法定外の業務(開業代行・物件紹介・お部屋づくりなど)の10項目です。

誰向けか: 複数の民泊運営代行・住宅宿泊管理業者を並べて、どこに委託するかを決めようとしているオーナー様

  1. その会社の「対応業務」に、法定7業務だけが並んでいないかを見る
  2. 現地対応・24時間受付・多言語の3つは、可否ではなく範囲(エリア・時間帯・言語)で聞く
  3. 開業手続きの代行や家具の手配は、料金に含まれるか別料金かを見積もり時に確かめる

「民泊 運営代行 おすすめ」と検索して、上から順にサイトを開いていくと、途中で手が止まる。どの会社も、挙げている業務が同じなのだ。ゲスト対応、清掃、緊急時の対応、宿泊者名簿の管理。5社見て5社とも同じ並びだった、という経験は珍しくない。

サービスが横並びなのだと考えたくなる。実際は違う。同じに見えるのは、その部分が法律で決められているからである。

全社が「やります」と答える項目がある

住宅宿泊事業法の第2条第5項は、住宅宿泊管理業務を第5条から第10条までの措置と、届出住宅の維持保全と定めている。中身は、衛生の確保、安全の確保、外国人宿泊者への対応、宿泊者名簿の備付け、周辺への説明、苦情対応の6つに維持保全を足した7つになる。

そして第11条第1項が、家主不在型の届出住宅について、これらの全部を一の住宅宿泊管理業者に委託しなければならないと定めている。

つまり、登録のある管理会社に「宿泊者名簿を備え付けますか」と聞けば、全社が「はい」と答える。答えないと法律違反になるからだ。ここを何項目に分けて数えても、順位はつかない。

見分け方

会社案内の「対応業務」に、名簿管理・苦情対応・衛生管理・安全確保だけが並んでいるなら、それは法律が全社に課している内容を書き写しただけである。多く見えても、比較の材料にはならない。

「残りの2項目は何ですか」と聞かれて、答えられなかった

この点を、当サイトは自分の失敗で理解した。

民泊ビトは掲載している会社に確認のメールを送り、返信の内容を掲載ページに反映している。2026年8月27日、掲載社の一社から質問が届いた。他社のページには10業務と出ているが、自社は8業務になっている。残りの2項目は何か、という趣旨だった。

答えは、そのような一覧は存在しない、だった。

当時ページに出していた「対応業務◯」の数字は、ご返信を何項目に分けて書いてくださったかを数えていただけである。10と出ていた社は自由記述を10行に分けて書いた社で、5と出ていた社は当方の確認メールに選択肢が5つしか並んでいなかった社だった。能力の差ではなく、こちらの聞き方の差を測っていたことになる。

数字で見ると、はっきりする。確認が取れている19社の回答項目数は0から10まで散らばっていて、そのうちちょうど5項目だった社が5社ある。この5社は当方の5択にそのまま答えた社である。一方、10項目を書いた社は2社、まったく記載のない社が2社あった。

差がつく10項目

そこで、19社の回答をすべて突き合わせ、実際に○と×が分かれた項目だけで表を作り直した。全社が○になる法定業務は入れていない。

#項目19社の回答に記載があった数
1現地対応(スタッフが現地へ行く)6
224時間・365日の受付3
3多言語対応(対応言語の記載)8
4清掃対応(自社・外注は問わない)15
5OTA掲載・リスティング作成14
6予約管理・料金調整5
7運営状況のレポート2
8開業の手続き代行(届出・旅館業・消防)11
9物件の紹介・仲介2
10お部屋づくり(家具・内装の手配)4

上の4つは、法定業務そのものではなくその果たし方である。苦情対応は全社の義務だが、深夜に人が現地へ行くかどうかは会社によって違う。夜間の駆けつけを明記した社もあれば、鍵の受け渡しは港区内のみと範囲を区切った社もあった。メッセージ対応だけを請ける形態を別プランとして持っている社もある。

清掃を項目4に置くとき、当初は「清掃を自社で行う」と書いていた。掲載社からの指摘で「清掃対応の可否」に変えている。清掃を自社の従業員がやるか外注に出すかは、オーナーの手取りにも品質にも直結しない。実際、自社化と外注は同じ会社の中でも物件ごとに混ざる。

下の3項目は、民泊の管理業務ではない。届出の代行も、物件の仲介も、家具の発注も、管理業の登録とは別の話である。それでも、これから始める人にとっては委託先を決める理由になる。開業代行を挙げた社が11、物件紹介まで踏み込んだ社は2しかない。

この数字を、そのまま優劣に読まないでほしい

19社の回答は、○×ではなく自由記述で受け取ったものである。だから「レポートの記載が2社しかない」は、17社が収益レポートを出さないという意味ではない。書かれなかった項目が、できないのか、当たり前すぎて書かなかったのかを、この数字は区別していない。

だから民泊ビトは今、同じ10項目を○×の形で聞き直している。順次、掲載ページの表示を「◯/10業務」に切り替える。分母を出さない数字は、比べる相手が分からないという点で、最初の失敗と同じ形をしている。

見積もりを取るときに聞く3つ

①現地へ行くのは何区・何市までか。②夜間の一次受付は何時から何時までで、その先は誰が動くか。③開業手続きの代行や家具の手配は、月々の手数料に含まれるのか別料金か。この3つは、法定業務の一覧を眺めていても書いていない。

料率だけを横に並べても答えが出ないのは、これと同じ理由である。同じ「宿泊売上の15%」でも、深夜に人が現地へ行く会社と、オンライン対応に絞った会社では、買っているものが違う。料率の差は業務範囲の差として現れる(相場は宿泊売上の15%から。ただし「何の15%か」は会社によって三通りある)。

民泊ビトには国土交通省の登録簿にもとづく4,658社が載っている。東京都だけで1,422社ある。全部を比べるのは無理だが、地域を絞って10項目で見れば、候補は数社まで落ちる。都道府県別の住宅宿泊管理業者一覧から、対応エリアで絞り込める。

掲載は無料で、費用の有無で並び順は変わらない(中立性の方針)。

出典

  • 住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号)第2条第5項・第5条〜第11条 — e-Gov法令検索(2026-08-27 取得)
  • 国土交通省 観光庁「民泊制度ポータルサイト 管理業務の委託について」 — https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/overview/minpaku/law1.html (2026-08-27 取得)
  • 掲載社19社のご回答(民泊ビト 掲載内容確認メール・2026-08-27 時点)

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国土交通省の登録簿にもとづき4,658社を掲載しています。登録番号・登録年月日で照合しながら比べられます(掲載は無料・費用の有無で並び順は変わりません)。

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