マンションで民泊は始められるか ― 管理規約の確認と届出書に書く義務

公開: 2026-08-10|運営: ubusuna works

この記事の結論

届出書には管理規約の状態を書く欄があります。「規約に何も書いていない」は、禁止されていないことにはなりません。管理組合の意思を確かめずに始めると、後から止められることがあります。

誰向けか: 分譲マンションの一室で民泊を始めようとしているオーナー

  1. 管理規約に民泊の可否が書かれているか
  2. 書かれていない場合、管理組合に確認したか
  3. 届出書の該当欄に何と書くかが決まっているか

分譲マンションの一室を民泊に出そうと考えている。住宅宿泊事業の届出は自分で調べて準備した。ところが、届出書の記載事項の一つに「管理規約」という欄があることに、届出の直前で気づく。

民泊を許可するのは自治体であって、管理組合には関係ないはずだ——そう思っていた人ほど、ここで手が止まる。

届出書には、管理規約の状態を書く欄がある

区分所有建物(マンションのように、2人以上の区分所有者がいて、住居として使う専有部分がある建物)で住宅宿泊事業を始める場合、届出書には「管理規約に、住宅宿泊事業を営むことを禁止する旨の定めがないこと」を記載しなければならない。住宅宿泊事業法施行規則第4条第3項第13号に定められた記載事項である。

自治体の窓口は、この記載を鵜呑みにする。規約の原文まで取り寄せて確認するわけではない。だからこそ、記載した内容と実際の規約が食い違っていた場合の責任は、届出をした側に残る。

「規約に何も書いていない」は、禁止されていないことにはならない

ここでよくある誤解がある。規約に「民泊」という言葉が一度も出てこないなら、禁止されていないと考えてしまう誤解だ。

規約に定めがない場合、記載事項が意味するのは「管理組合が住宅宿泊事業を禁止する意思を持っていない」ことである。これは、総会や理事会で禁止する方針を決議していない状態を指す。逆に言えば、規約の条文に「民泊」の文字が無くても、総会で禁止の方針を決議していれば、届出書のこの記載はできなくなる。

もう一つ、見落としやすい形がある。規約が「宿泊料を受けて人を宿泊させる事業」のように、民泊という言葉を使わずに包括的な禁止条項を置いている場合も、住宅宿泊事業を禁止しているとみなされる。「民泊」で規約を検索して見つからなかったからOK、という確認の仕方は不十分である。

規約が動いた年がある

規約に何も定めがないマンションが多かった背景には、そもそも民泊を想定した条項が用意されていなかった時期の長さがある。

国土交通省は2017年8月29日、マンションの標準的な規約のひな型である「マンション標準管理規約」を改正し、民泊を可能とする場合の条項例と、禁止する場合の条項例の両方を示した。この改正以降に規約を見直したマンションでは、どちらかの立場が明記されている可能性が高い。逆に、それより古いまま一度も見直していない規約は、依然として「何も書いていない」状態に留まっていることが多い。

自分のマンションの規約がいつ最終改正されたかは、規約の末尾に付則として記録されている。

規約を変えるのは、届出より重い手続きである

規約が禁止している場合、届出を諦める前に規約変更を検討したくなるかもしれない。ただし、規約の設定・変更・廃止には、区分所有法第31条第1項により、集会で区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成が必要になる。届出は自分一人で準備できるが、規約変更は住民全体の合意形成が要る。この重さの違いを把握しておくと、動き出す前の見通しが立てやすい。

確認の順番

  1. 管理規約の本文を「民泊」「住宅宿泊事業」「宿泊」の語で検索する
  2. 見つからなければ、直近の総会・理事会の議事録に禁止方針の決議が無いかを確認する
  3. 判断が難しければ、届出前に管理組合(理事会・管理会社)に相談する

冒頭の「自治体の許可と管理組合は無関係」という考えに戻る。届出は自治体の制度だが、記載事項の一つは管理組合の意思を映す欄になっている。両方を満たして初めて、届出書は正しく書き終わる。

管理業務を委託する場合の登録業者は、民泊ビトの業者データベース(/companies)から探せる。


出典


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