家主不在なら委託は義務 ― 住宅宿泊管理業者への管理委託が必須となる条件と罰則

公開: 2026-08-08|運営: ubusuna works

この記事の結論

宿泊者が泊まっている間にあなたがその建物にいないなら、管理業者への委託は義務です。「家主居住型」か「家主不在型」かは、契約の名前ではなく、その時間帯に建物にいるかどうかで決まります。近所への買い物程度の短い外出は「一時的」ですが、夜は別の家に帰る運用は不在型です。

誰向けか: 自分が委託義務に当たるのか分からない、届出前後のオーナー

  1. 宿泊者が泊まっている夜、その建物にいるか
  2. 届出住宅の居室数が省令の数を超えていないか
  3. 委託するなら、一の管理業者にまとめて委託する

自宅の一室を貸すのだから、掃除も鍵の受け渡しも自分でやればいい。そう考えている人は多い。実際それで足りる場合もある。ただし、あなたが宿泊者を家に泊めている間、その建物にいるかどうかで話は変わる。買い物に出るのではなく、別の街の自宅に帰るなら、法律は「自分でやる」という選択を認めていない。

二つのうち一つでも当たれば、委託は義務になる

住宅宿泊事業法(民泊を届出制で認めている法律)の第11条第1項は、次のどちらかに当たるとき、管理業務を住宅宿泊管理業者(=民泊の運営管理を請け負う、登録を受けた事業者)に委託しなければならないと定めている。

一つめは、届出住宅の居室数が省令で定める数を超えるとき。部屋数が多くなれば、目が届かなくなるという発想である。

二つめが、実務上ほとんどの人に関わってくる。人を宿泊させている間、届出住宅が不在になるとき。カッコ書きで「一時的なものを除く」とあるのが、この条文の肝である。

ここが大事

「家主居住型」か「家主不在型」かは、気持ちや契約の名前ではなく、宿泊者が泊まっている時間帯にあなたがその建物にいるかどうかで決まる。近所への買い物のような短時間の外出は「一時的」だが、夜は別の家に帰る運用は不在型である。

ただし、抜け道が一つある。住宅宿泊事業者自身が管理業者としての登録を受け、自分で管理業務を行う場合は、委託しなくてよい。つまり選択肢は「外に頼む」か「自分が登録側になる」かの二択で、「登録もせず自分でやる」だけが塞がれている。

家主居住型(不在にならない)

宿泊者がいる間、届出住宅に自分がいる。居室数が省令の数を超えていなければ、委託義務はかからない。

家主不在型

宿泊中に建物を離れる運用。管理業者への委託か、自ら登録を受けて管理するか、どちらかを選ぶことになる。

委託すると、六つの義務の宛先が入れ替わる

委託を「面倒な作業の外注」だと思っていた。ところが条文を読むと、そう単純な話ではない。

委託の対象になるのは、住宅宿泊事業法が事業者に課している次の措置である。第5条の衛生確保、第6条の安全確保、第7条の外国人観光旅客への対応、第8条の宿泊者名簿の備付け、第9条の周辺の生活環境への配慮の説明、第10条の苦情対応。そして同法第11条第2項により、委託した届出住宅については、これらの規定が住宅宿泊事業者自身には適用されなくなる。

義務が消えるのではない。義務の担い手が移る。深夜に近隣から騒音の苦情が入ったとき、それを受けて動く責任は、契約書の文言ではなく法律の構造として管理業者の側にある。だからこそ、誰に委託するかの判断は、清掃の単価を比べる話より重い。

名簿の記載漏れ、非常用照明の不備、外国語での案内の欠落。こうした穴が空いたとき、行政の目が向くのは管理業者である。委託して安心するのではなく、その業者が六つの措置を実際にどう回しているかを、契約前に聞いておく理由はここにある。

なぜ「一の」管理業者なのか

第11条第1項の条文には「一の住宅宿泊管理業者に委託しなければならない」と書かれている。この「一の」を読み飛ばすと、後で困る。

清掃はA社が安い、鍵の受け渡しはB社が近い、苦情の電話対応はC社が24時間。分けて頼めば良さそうに見える。国土交通省の資料は、住宅宿泊管理業務の委託は一の管理業者に一元的に委託することが原則であり、複数の管理業者への分割委託は認められないとしている。

理由は想像がつく。責任の切れ目を作らないためである。苦情が来たとき「それは清掃会社の担当です」「いや鍵の会社では」と三社で押し付け合う構図を、制度としてあらかじめ排している。

丸投げの再委託は禁じられている

一社にまとめたとして、その一社が全部を別の会社に流していたらどうなるか。ここも塞がれる。

住宅宿泊事業法第35条は、管理業者が委託された管理業務の全部を他の者に再委託すること、つまり一括の丸投げを禁止している。一部の再委託は可能である。清掃だけを地域の業者に頼む、リネンの交換を専門会社に出す、といった形は残る。

契約前に確認したいこと

看板は管理業者、実際に動くのは全部別会社という形になっていないか。誰が窓口で、緊急時に現場へ行くのはどの会社の人間か。一部再委託がある場合、その範囲を書面で確かめておく。

罰金の額と、それより先に来るもの

住宅宿泊事業法第75条は、第11条第1項(管理業務の委託義務)または第12条の規定に違反した者を、50万円以下の罰金に処すと定めている。

刑罰である。届出をして合法に民泊を営んでいるつもりの人が、家主不在型なのに委託していない、という一点でここに触れる。

もっとも、現実に先に来るのは罰金ではないだろう。近隣からの苦情、自治体からの報告徴収、そして届出住宅としての運営の停止。金額の数字だけを見て「その程度なら」と考えるのは、順番を読み違えている。

  1. 宿泊者がいる間に建物を離れる運用かどうかを確かめる
  2. 離れるなら、委託するか自ら管理業の登録を受けるかを決める
  3. 委託する場合は一社にまとめ、六つの措置の担い方と再委託の範囲を契約前に確認する

冒頭の「一室だから自分でやればいい」に戻る。その判断が通るのは、あなたが宿泊者と同じ建物にいる夜に限られる。別の家に帰るなら、探すべきは掃除の外注先ではなく、衛生・安全・名簿・苦情までを引き受ける相手である。誰に任せるかで、深夜の電話が鳴ったときの動きが変わる。

登録を受けた住宅宿泊管理業者は、民泊ビトの業者データベース(/companies)から地域や対応業務で絞り込んで探せる。


出典


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