多言語対応は何語までか。法律が求めるものとの差

公開: |運営: ubusuna works

この記事の結論

住宅宿泊事業法第7条は、外国人宿泊者に外国語で設備の使い方や交通手段を案内することを求めています。家主不在型では、この義務は届出者ではなく委託先の住宅宿泊管理業者が担います。ただし何語で、誰が対応するかまでは法律に書かれておらず、実際の管理業者の回答にも「対応言語を書ける会社」と「対応可能とだけ書く会社」の差があります。

誰向けか: 家主不在型で委託を考えているオーナー様、外国人ゲストの受け入れを想定している方

  1. 「対応言語」ではなく「対応言語名」を聞く。英語対応可、だけでは何語かわからない
  2. 家主不在型なら、この義務を負うのは届出者ではなく委託先の管理業者であることを確認する
  3. スタッフが対応するのか、翻訳アプリで済ませているのかを分けて聞く

洗濯機の使い方が日本語のシールにしか書かれていない。夜中に電話をかけても、出た相手と言葉が通じない。外国人宿泊者からよく聞く困りごとは、たいていこの水準の話である。

小さな不便に見える。ところが、この場面は法律が名指しで想定しているものだった。

第7条は「快適性・利便性」という名前の義務である

住宅宿泊事業法第7条には、外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保という見出しがついている。中身は、届出住宅の設備の使用方法に関する外国語を用いた案内、移動のための交通手段に関する外国語を用いた情報提供、その他必要な措置を講じることの義務づけである。

騒音や苦情への対応と並んで、これも住宅宿泊事業者が最初から負っている義務の一つに数えられる。条文が定めているのは「講じなければならない」までで、具体的に何語を用意すればよいかは書かれていない。

家主不在型では、この義務が丸ごと引っ越す

自分の家を貸すだけなら、この義務は家主が自分で果たせばよい。話は、宿泊させている間、家主が家に不在になる場合(いわゆる家主不在型)から変わる。

第2条第5項は、住宅宿泊管理業務を第5条から第10条までの規定による業務と定義している。第7条はその範囲に入る。そして第11条第1項は、居室数が一定基準を超えるときと、宿泊させる間に不在となるときのいずれかに該当すれば、この業務を一の住宅宿泊管理業者(=民泊の管理を代わりに引き受ける、国に登録した会社)に委託しなければならないと定める。

つまり家主不在型では、外国人宿泊者への外国語案内は、届出をした人の仕事ではなくなる。委託先の管理会社が、実際にその言語で答えられるかどうかの問題にすり替わる。ここまでは条文の話だから、疑いの余地はない。残るのは「何語まで用意すれば足りるか」という、条文には書かれていない一点である。

20社に聞いて、答えが2種類に割れた

民泊ビトは掲載している住宅宿泊管理業者に、対応業務の確認メールを送っている。ここまでにご本人から返信をいただき、確認済みバッジをつけているのは20社である。

そのうち、対応業務を10項目に分けた確認に答えていただけたのは10社だった。多言語対応の項目には、10社とも「対応している」という趣旨の回答が返ってきている。ここまでは、どの会社も同じに見える。

差は、その先にあった。対応言語を具体的な言語名で挙げたのは6社にとどまる。残り4社のうち3社は「すべての言語に対応可能」といった言い切りで、実際の言語名は書かれていなかった。もう1社は、スタッフではなく翻訳機能で対応していると回答している。

法律が求めていること

外国語を用いた設備案内と交通手段の情報提供。具体的な言語数や体制までは、条文には書かれていない。

実際に届いた回答

10社が「対応している」と答えた一方、言語名まで書けたのは6社。残りは「全言語対応可能」や翻訳機能という答えに留まる。

日本語・英語・中国語・韓国語の4言語をそろえて回答したのは、この6社のうち3社である。残る3社は、英語・中国語・韓国語にフランス語を足した組み合わせが1社、英語と中国語と日本語の3言語が1社、ロシア語やタガログ語、ヒンディー語まで含む7言語が1社と、組み合わせはばらばらだった。

3社

確認が取れている20社のうち、対応言語を名前で答えられたのは6社。日英中韓の4言語をそろえていたのは、その半分の3社だけだった。多いとも少ないとも、ここでは判定しない。ただ、「対応可能」という一言の中に、これだけの幅が入っていた。

「対応可能」は、誰が受けるかを聞くまで終わらない

翻訳機能での対応を悪いとは思わない。設備の使い方を案内するだけなら、翻訳アプリの画面を見せれば足りる場面のほうが多いはずである。

ただ、第9条第2項は宿泊者への説明について、外国人観光旅客である宿泊者には外国語を用いて説明しなければならないと定めている。近隣からの苦情に夜中に対応する場面(標識・説明・苦情対応の三つの義務)まで考えると、翻訳機能だけで押し切れるかどうかは怪しくなる。上の階が騒がしいという苦情を、翻訳アプリの画面越しに、深夜に伝えられるだろうか。

見積もりを取るときに聞く3つ

①対応言語は具体的に何語か。②その言語は人が話すのか、翻訳機能なのか。③夜間の苦情対応も同じ体制でできるのか。この3つを分けて聞かないと、「対応可能」の中身はわからないままになる。

多言語対応は、管理会社を比べる10項目のうちの一つに過ぎない(対応業務を比べる10項目)。とはいえ、外国人宿泊者を受け入れる予定があるなら、他の項目より先に確かめておく理由が第7条にはある。委託した瞬間から、この義務を実際に果たすのは自分ではなく、選んだ会社になる。

対応言語まで具体的に答えている会社かどうかは、民泊ビトの住宅宿泊管理業者データベースで、確認済みの回答内容から見比べられる。掲載は無料で、費用の有無によって並び順は変わらない。

出典

  • 住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号)第2条第5項・第7条・第9条第2項・第11条第1項 — e-Gov法令検索(2026-09-07 取得)
  • 国土交通省 観光庁「民泊制度ポータルサイト 住宅宿泊管理業務の委託について」 — https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/overview/minpaku/law1.html (2026-09-07 取得)
  • 掲載社20社のご回答(民泊ビト 掲載内容確認メール・2026-09-07 時点の集計)

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