管理規約に一行あるかないかで決まる ― 分譲マンションで民泊ができるかの調べ方

公開: |運営: ubusuna works

この記事の結論

分譲マンションで民泊ができるかは法律でなく管理規約で決まります。第12条に定めがなければ、総会・理事会の禁止決議の有無を確認し、無ければ届出の際に禁止する意思がないことを示す書類を用意します。

誰向けか: 分譲マンションの一室で住宅宿泊事業を始めたいと考えている区分所有者様

  1. 管理規約第12条(専有部分の用途)に住宅宿泊事業の可否が明記されているかを確認する
  2. 定めがなければ、総会・理事会の議事録に禁止方針の決議がないかを確認する
  3. 定めがない場合は、届出の際に管理組合の禁止する意思がないことを示す書類を用意する

管理規約の冊子を開き、「民泊」という言葉を目で追う。見つからない。ほっとしていいのか、まだ何か見落としているのか。判断がつかないまま、次のページを開くことになる。

「マンション民泊禁止」で検索してこのページに来た人の多くは、自分の部屋がその側かどうかをまだ知らない。自治体の届出基準を読み込んでも、ここは答えてくれない。答えは、もっと手元にある書類の中にある。

禁止できる根拠は法律ではなく規約にある

区分所有法第30条第1項は、建物や敷地、附属施設の管理・使用に関する区分所有者相互間の事項を、規約で定めることができると定めている。専有部分をどんな用途に使ってよいかも、この「使用に関する事項」に含まれる。

つまりマンションが民泊を止められるかどうかは、住宅宿泊事業法の側の話ではない。区分所有者たちが自分たちの合意として、規約に用途の制限を書き込めるという、区分所有法の側の仕組みである。国への届出が受理されることと、規約に反しないことは、別の審査だと考えたほうがいい。

国が示した文言は、可能・禁止のどちらも同じ形をしている

2017年8月29日、国土交通省は「マンション標準管理規約」を改正し、専有部分の用途を定める第12条について、住宅宿泊事業を可能とする場合と禁止する場合、双方の条文例を示した。その後、令和7年10月17日に規約全体が改めて改正されているが、第12条の位置と、可能・禁止それぞれの条文例の文言は変わっていない。可能とする場合の第2項は次の形である。

可能とする場合の条文例

区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号)第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することができる

禁止する場合は、末尾だけが変わる。

禁止する場合の条文例

区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない

自分の規約の第12条にこの言い回しがそのまま載っているなら、迷う余地はない。「使用することができる」なら可能、「使用してはならない」なら禁止と、文字どおりに読めばいい。

何も書いていない場合、規約は何を意味しているか

問題は、第12条が「専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」という第1項だけで止まっていて、民泊に触れる第2項そのものが無い規約である。2017年より前に作られたまま見直されていないマンションでは、これがまだ珍しくない。

規約に定めがないこと自体は、禁止でも許可でもないのである。ただし、それで話が終わるわけでもない。総会や理事会で「住宅宿泊事業を認めない」という方針を決議していれば、規約の条文に「民泊」の文字が一度も出てこなくても、管理組合の意思としては禁止されている状態になり得る。規約という書面と、総会・理事会という意思決定の場は、別々に確認する必要がある。

調べる順番

  1. 管理規約の第12条(専有部分の用途)を開き、住宅宿泊事業を可能とする・禁止するのどちらかの文言が入っているかを確かめる
  2. 入っていなければ、直近数年分の総会議事録・理事会議事録に、住宅宿泊事業を禁止する方針の決議が無いかを確かめる
  3. どちらにも定めが見当たらなければ、届出前に管理組合(理事会・管理会社)へ相談し、禁止する意思がないことを示す書類を用意してもらう

3番目が要る理由は、届出の手続き自体にある。住宅宿泊事業法第3条第1項に基づき都道府県知事等へ届出をする際、規約に定めがない場合は、管理組合に禁止する意思がないことを確認した書類を添えることが求められる。規約の写しを取り寄せて終わりではなく、その先にもう一段、管理組合側の確認が要るということだ。無届のまま営業すれば、同法第72条の対象になる。ここは規約の話ではなく、届出そのものを怠った場合の話である。

管理規約は、総会の議事録と一緒に保管されていることが多い。第12条だけを読んで「何も書いていない」と判断する前に、直近の総会資料まで見ておくと、あとになって管理組合から指摘を受けるという展開を避けやすい。

管理業務を委託する場合の登録業者は、民泊ビトの住宅宿泊管理業者の一覧から地域ごとに探せる。規約の読み方や届出の進め方で迷う点があれば、無料相談で個別に相談することもできる。届出書の記載事項そのものについてはマンションの管理規約と届出で別にまとめている。

出典: 建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)第30条第1項 https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000069 / 住宅宿泊事業法第3条第1項・第72条 https://laws.e-gov.go.jp/law/429AC0000000065 / 国土交通省「マンション標準管理規約の改正について」(2017年8月29日公表) https://www.mlit.go.jp/report/press/house06_hh_000146.html / 国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」条文本文・コメント(令和7年10月17日改正版、第12条) https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000052.html / 民泊制度ポータルサイト「届出の手続き」 https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/business/host/procedure.html (いずれも2026-08-23取得)


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