特区民泊なら180日ルールは関係ない、と思っていませんか
公開: |運営: ubusuna works
この記事の結論
特区民泊には年180日の上限がありません。その代わり最低宿泊日数の制限があり、多くの自治体で2泊3日からです。1泊だけの宿泊者は受け入れられません。日数の制限は「無くなる」のではなく「入れ替わる」と考えてください。
誰向けか: 180日の上限を外したくて、特区民泊を検討しているオーナー
- 自分の物件がある自治体が、特区民泊の条例を定めているか
- 最低宿泊日数の下限が何泊か
- 1泊の需要を当てにした計画になっていないか
「特区民泊なら180日の上限が無い」と聞いて、住宅宿泊事業より自由度の高い上位互換の制度だと考えてしまう人がいる。
上限が無いのは本当である。ただし、それは住宅宿泊事業法とは別の法律に基づく、別枠の制度だからそうなっている。上位互換ではなく、条件の組み合わせが違う別物である。
根拠になっている法律が違う
住宅宿泊事業(いわゆる民泊新法)は住宅宿泊事業法に基づく届出制である。
特区民泊は、国家戦略特別区域法第13条に基づく認定制で、正式名称は「国家戦略特別区域外国人旅客滞在施設経営事業」という。認定を受けると、旅館業法の規定が適用されなくなる(旅館業法の特例)。届出で始められる住宅宿泊事業と違い、都道府県知事または政令で定める市区町村の長からの認定が必要になる。
住宅宿泊事業と特区民泊は、日数制限のオンオフだけが違う2つの選択肢ではない。根拠法から手続きの重さまで、制度として別物である。
使えるのは、条例を定めた自治体だけ
特区民泊は、国家戦略特別区域に指定された地域の中で、さらに自治体が条例を定めて初めて使える制度である。指定されていても条例が無ければ実施できない。
2026年1月時点で、実施している自治体は9地域、施設数は約3,300件。そのうち大阪市が全体の約95%を占める。全国のどこでも選べる制度ではなく、実質的には限られた地域の話である。
日数の制限は「無くなる」のではなく「入れ替わる」
住宅宿泊事業法の年間180日の上限は、特区民泊には存在しない。営業日数の上限は無い。
その代わりに、最低宿泊日数2泊3日以上という制限がある。法律上は2泊3日から9泊10日までの範囲で自治体の条例が下限を定めることになっており、多くの自治体が下限の2泊3日を採用している。1泊だけの宿泊者を受け入れることはできない。
「泊数の制限が無い」と聞いて短期のワンナイト需要を想定すると、実際の制度とは逆の設計になっている。特区民泊が向いているのは、日数を気にせず継続的に貸したいが、短期滞在の頻繁な入れ替わりは想定していないケースである。
施設の基準も、住宅宿泊事業より重い
認定を受けるには、居室の床面積が25平方メートル以上であることが要件になる。加えて、出入口・窓に施錠できること、居室と他の居室・廊下との境が壁造りであること、換気・採光・照明・防湿・排水・暖房・冷房の設備、台所・浴室・便所・洗面設備、寝具等の必要な設備、消防法への適合が求められる。条例による追加要件が加わる自治体もある。
一般的な住宅の一室をそのまま使えるとは限らない。住宅宿泊事業からの切り替えを検討する場合は、まず床面積と設備がこの基準を満たすかを確認する必要がある。
マンションなら、管理規約の確認は同じ
区分所有建物(マンション)で特区民泊を行う場合も、管理規約が禁止していないかという論点は住宅宿泊事業と同様に生じる。この点については内閣府地方創生推進事務局から自治体向けの通知が出ており、区分所有建物における特区民泊の実施にあたって管理規約の確認を求める内容になっている。
管理規約の確認手順そのものは、住宅宿泊事業を検討したときと変わらない。
選ぶ前に確認する3点
- 物件のある自治体が、特区民泊の条例を定めているかを確認する
- 居室が25㎡以上あり、必要な設備を備えられるかを確認する
- 想定する宿泊者が、2泊3日以上の滞在に合うかを考える
条件が合わなければ、選択肢は住宅宿泊事業(180日上限あり)か旅館業法の簡易宿所営業に絞られる。管理業務の委託が必要な場合、登録を受けた住宅宿泊管理業者は民泊ビトの業者データベース(/companies)から探せる。特区民泊の基準を自分の物件が満たすか判断しづらい場合は、無料相談で状況を伝えれば、対応実績のある会社を確認してお伝えする。
出典
- e-Gov法令検索「国家戦略特別区域法」第13条 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000107
- 内閣府地方創生推進事務局「旅館業法の特例(特区民泊)について」 https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/tocminpaku.html
- 内閣府地方創生推進事務局「区分所有建物における特区民泊の実施について(通知)」 https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/pdf/tuti3_ryokan.pdf
- 国土交通省 民泊制度ポータルサイト「minpaku」「特区民泊について」 https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/overview/minpaku/law3.html
お住まいの地域の住宅宿泊管理業者を探す
国土交通省の登録簿にもとづき3,989社を掲載しています。登録番号・登録年月日で照合しながら比べられます(掲載は無料・費用の有無で並び順は変わりません)。
民泊の始め方・管理委託の基礎はこちら → 民泊の始め方(届出から開業まで)