民泊には3つの制度がある。管理業者を使う義務があるのは、そのうち1つだけ
公開: |運営: ubusuna works
この記事の結論
民泊には3つの制度(住宅宿泊事業・簡易宿所・特区民泊)があり、管理業者への委託義務があるのは住宅宿泊事業だけです。簡易宿所にはそもそも管理業者という制度がありません。見分け方は営業日数ではなく、委託義務があるかどうかです。
誰向けか: どの制度で民泊を始めるか迷っているオーナー
- 自分がどの制度で届出・許可を取るのか
- 住宅宿泊事業なら、委託義務に当たるかを確かめる
- 180日の制限を受けるかどうか
「民泊を始めたい」という相談には、実は三つの選択肢が隠れている。住宅宿泊事業、旅館業法の簡易宿所営業、特区民泊。観光庁や自治体の窓口ではまとめて「民泊」と呼ばれるが、法律としては別物である。
厄介なのは、この三つのどれを選ぶかで、住宅宿泊管理業者を使う義務そのものが変わるという点だ。当サイトが扱う「住宅宿泊管理業者」は、実はこの三つのうち一つにしか関わっていない。
180日という制約と、その裏にある委託義務
住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号、通称「民泊新法」)は、届出だけで始められる分、条件が厳しい。年間提供日数は同法第2条第3項により180日を超えられない。ひと月の半分強しか営業できない計算になる。
その制約を受け入れる代わりに、家主が現地にいなくても運営できる仕組みが用意されている。ただし無条件ではない。第11条は、届出住宅の居室数が省令で定める数(実務上5室)を超えるとき、または宿泊させている間に家主が不在になるときは、管理業務を住宅宿泊管理業者に委託しなければならないと定めている。ここで初めて、当サイトに掲載されている業者の出番が生まれる。
例外もある。同条のただし書きにより、事業者自身が住宅宿泊管理業者としての登録を受けていれば、自分で管理業務を行ってよい。不動産管理会社が届出住宅を自社で運営するケースはこれに当たる。
簡易宿所には、そもそも管理業者という制度がない
180日の壁を嫌って旅館業法に切り替える事業者もいる。旅館業法上の「簡易宿所営業」は、同法第2条で「宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設」を営む許可業種として定義され、住宅宿泊事業法のような年間日数の上限を持たない。
ところがこの許可を取った時点で、住宅宿泊事業法の枠組みからは外れる。管理業務の委託義務を定めた第11条は住宅宿泊事業者にしか適用されないので、簡易宿所の運営を誰に任せるかは法律上まったくの自由だ。清掃会社に頼んでも、管理会社を挟まなくても、許可の要件そのものには影響しない。
「管理業者を探している」という相談が来たとき、その物件が簡易宿所の許可を取る予定なら、それは法律上の必要ではなく、運営の効率化としての依頼だと分かる。委託が義務かどうかで、提案の重みは変わってくる。
特区民泊も、旅館業法の外側にいる
三つめの特区民泊(国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業)は、国家戦略特別区域法第13条に基づく認定事業で、大田区や大阪市など指定された区域でしか使えない。この事業として認定されると、同条により旅館業法そのものの適用が除外される。日数の上限もなく、多くの自治体では条例で2泊3日以上の使用を条件にしている程度である。
適用除外という言葉が示すとおり、特区民泊にも住宅宿泊管理業者への委託義務は存在しない。簡易宿所と同じく、管理を誰に頼むかは事業者の判断に委ねられている。
見分け方は、日数ではなく委託義務の有無
三つの制度を並べると、日数制限の有無で覚えてしまいそうになる。180日の住宅宿泊事業と、無制限の簡易宿所・特区民泊。しかし管理業者にとって意味を持つ境界線は別のところにある。住宅宿泊事業のうち家主不在型または居室数超過の場合だけが、法律で管理業者を必要とする唯一のケースだという境界線だ。
住宅宿泊管理業者の一覧・検索に掲載されている業者は、この委託義務を負う事業者からの依頼に応えられる相手として登録簿に載っている。簡易宿所や特区民泊の運営を検討している相手に営業をかけるなら、「義務だから」ではない別の理由を用意しておく必要がある。どの制度が自分の物件に合うのか判断がつかない場合は、無料相談で条件を伝えれば、制度の見立てを含めて確認できる会社をお伝えする。
出典: 住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号)第2条・第11条 https://laws.e-gov.go.jp/law/429AC0000000065、旅館業法(昭和23年法律第138号)第2条 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000138、国家戦略特別区域法(平成25年法律第107号)第13条 https://laws.e-gov.go.jp/law/425AC0000000107(いずれも2026-08-08取得)。特区民泊の運用実務は各自治体の条例・ガイドラインによる。
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