賃貸で民泊を始めるには ― 「転貸OK」でも届出に使えない承諾書がある

公開: |運営: ubusuna works

この記事の結論

借りている部屋で民泊をするには、貸主が「住宅宿泊事業に使うこと」を承諾した書面を届出に付けます。契約書に転貸の可否しか書いていなければ、別に承諾書をもらいます。分譲マンションなら管理規約も確かめ、住まずに貸すなら住宅宿泊管理業者への委託が要ります。

誰向けか: 賃貸の部屋で民泊を始めたい方、民泊用に部屋を借りることを検討している方

  1. 賃貸借契約書に、住宅宿泊事業に使えるかどうかが書かれているか
  2. 書かれていなければ、貸主から住宅宿泊事業を承諾する書面をもらえるか
  3. 分譲マンションの一室なら、管理規約と管理組合の方針が民泊を禁じていないか

「民泊相談可」「転貸可」と書かれた部屋を見つけた。これで届出の書類はそろう、と考えるのは自然だ。契約書に転貸を認める一文があれば、貸主の承諾はもう取れているように見える。

ところが、その一文だけでは届出に使えないことがある。

届出には、貸主の承諾を証する書面を付ける

まず、承諾が要る理由から確かめておく。民法第612条は、賃借人が貸主の承諾なしに部屋を転貸することを禁じている。無断で第三者に使わせれば、貸主は契約を解除できる。民泊で宿泊者を泊めることは、この「第三者に使わせる」ことに当たる。

住宅宿泊事業法の側も、承諾を書面で示すことを求めている。住宅宿泊事業法施行規則第4条第4項第1号チは、届出者が賃借人の場合に「賃貸人が住宅宿泊事業の用に供することを目的とした賃借物の転貸を承諾したことを証する書面」を添付書類としている。又貸しの部屋を借りている転借人なら、同号リにより、貸主と転貸人の両方の承諾が要る。

貸主が自分の親族でも扱いは変わらない。国の住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)は、親族が賃貸人である場合の賃借人も、ここでいう賃借人に含むとしている。「親の持ち家を借りているから大丈夫」という形でも、承諾書は用意することになる。

「転貸可」の一文で足りるとは限らない

冒頭の部屋に戻る。契約書に「転貸可」とあれば、承諾を証する書面になるのだろうか。

ガイドラインの答えは、条件つきである。承諾を証する書面は「住宅宿泊事業を行うことが可能かどうかについて明記されている必要がある」。賃貸借契約書にその旨が明記されていない場合は、別途、貸主が住宅宿泊事業を行うことを承諾したことを証する書類が必要になる。

つまり見るべきは、転貸を認めているかではなく、民泊(住宅宿泊事業)に使ってよいと書いてあるかだ。社宅やサブリースを想定した一般的な転貸条項は、宿泊者を短期で入れ替える使い方まで想定していないことが多い。契約書を読んで判断がつかなければ、貸主か管理会社に、住宅宿泊事業の承諾書を出してもらえるかを先に聞くほうが早い。自治体によっては、大阪市のように承諾書の様式例を公開しているところもある。

分譲マンションなら、管理規約も別に確かめる

貸主が承諾していても、もう一つの関門が残る場合がある。部屋が分譲マンションの一室なら、管理組合のルールだ。

届出書には、管理規約に住宅宿泊事業を禁止する定めがないことを書く。規約に定めがない場合は、管理組合に禁止する意思がないことを確認した書類を付ける。ガイドラインによれば、これは総会や理事会で禁止の方針が決議されていないことを確認した誓約書や、議事録などを指す。貸主は部屋の持ち主であって、管理組合ではない。貸主の承諾と管理規約の確認は、別々に済ませる必要がある。規約の読み方は「マンションで民泊は始められるか」で詳しく書いている。

住まずに貸すなら、管理会社への委託が要る

借りた部屋を丸ごと宿泊者に貸すなら、宿泊者がいる間、借りた本人はそこにいないことになる。このように届出住宅を不在にする形(家主不在型)では、住宅宿泊事業法第11条により、管理業務を国土交通大臣の登録を受けた住宅宿泊管理業者に委託しなければならない。清掃を自分でこなすつもりでも、委託の義務はなくならない。条件と罰則は「家主不在なら委託は義務」にまとめている。

管理会社を探す段階では、物件探しから相談できる会社もある。民泊ビトが対応業務を10項目でお尋ねし、ご回答をいただいた確認済みの17社のうち、11社が「物件のご紹介・仲介」に対応すると答えている(2026年10月17日時点)。

会社ご回答いただいた対応エリア
株式会社エアサポ日本全国
楽々プランニング株式会社都内23区内、横須賀市内、リゾートエリア(軽井沢・箱根・山中湖・熱海など)、京都市内、那覇市内
株式会社PROGRESS WORKS大阪市、和歌山県白浜町、兵庫県(淡路島・神戸市)、静岡県御殿場市、東京都、沖縄県本島、奈良県、滋賀県高島市・琵琶湖周辺ほか要相談
ユー・アイホーム株式会社東京都全域
株式会社Life Solution Partner東京23区がメイン。地方・その他のエリアもご相談可
株式会社ビッグスペース台東区・新宿区
旅タイム株式会社大阪市内全域・京都市内全域(関西エリア中心)
有限会社建物管理保証香川県内・大阪市内
株式会社令和不動産岐阜県西濃地域(大垣市周辺地域)
ディアナ静岡県沼津市の井田・戸田エリア、伊豆市の修善寺・土肥エリア
CraftFlat Solutions(未回答)

部屋の賃貸を仲介するには宅地建物取引業の免許が要る。当サイトは各社の免許番号までは確かめていないので、物件の紹介を頼むときは免許番号を確認してほしい。

借りる前に確かめる順番

  1. 賃貸借契約書(または募集図面)に、住宅宿泊事業に使えるかどうかが書かれているかを見る
  2. 書かれていなければ、貸主から住宅宿泊事業を承諾する書面を出してもらえるかを聞く
  3. 分譲マンションなら、管理規約と管理組合の方針が民泊を禁じていないかを確かめる
  4. 住まずに貸すなら、委託する住宅宿泊管理業者の見積もりを、届出の前に取っておく

「転貸可」の部屋を見つけたときに最初にやることは、契約書を読み直すことになる。民泊の文字がなければ、その部屋はまだ届出の書類がそろっていない。そこで貸主に承諾書を頼めるかどうかが、借りるかどうかの分かれ目になる。

管理会社は、民泊ビトの業者データベースから地域で絞って探せる。物件の所在地とお願いしたい業務を教えていただければ、条件の合う会社にまとめてお繋ぎする無料相談もある。

出典


お住まいの地域の住宅宿泊管理業者を探す

国土交通省の登録簿にもとづき3,989社を掲載しています。登録番号・登録年月日で照合しながら比べられます(掲載は無料・費用の有無で並び順は変わりません)。

都道府県別・住宅宿泊管理業者データベース →

民泊の始め方・管理委託の基礎はこちら → 民泊の始め方(届出から開業まで)

無料で相談する(必須3項目)