番号は本物、でも動いているのは別の会社 ― 名義貸しを禁じる一文

公開: |運営: ubusuna works

この記事の結論

できません。住宅宿泊事業法第30条が「住宅宿泊管理業者は、自己の名義をもって、他人に住宅宿泊管理業を営ませてはならない」と定めています。違反した場合の罰は第72条第3号で、1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその併科です。これは登録を受けずに営業した場合(同条第1号)と同じ重さです。なお、業務の一部を外の会社に出すことは名義貸しではありません。禁じられているのは全部の再委託です(第35条)。

誰向けか: 民泊の管理を委託する家主の方で、登録番号は確認できたものの、実際に業務をするのが同じ会社なのか確かめたい方。

  1. 契約書に書かれる商号と、現地に来る会社は同じか
  2. 外に出す業務があるなら、どれをどこに出すのかが契約時の書面に書かれているか
  3. 家主不在型なら、委託先は一の住宅宿泊管理業者でなければならない(第11条第1項)

委託先に登録番号を聞いて、番号が返ってきたとする。登録簿と突き合わせたら、商号も所在地も合っていた。

これで確かめ終わったことになるのだろうか。番号が本物であることと、その番号の持ち主が実際に働くこととは、別の事実である。

一文で終わる条文

住宅宿泊事業法の第30条は、これだけで終わる。

住宅宿泊管理業者は、自己の名義をもって、他人に住宅宿泊管理業を営ませてはならない。

見出しは「名義貸しの禁止」。ただし書きも、例外も、政令に委ねた部分もない。

登録を受けた会社が自分の名前で契約を結び、実際の業務は登録を持たない別の会社に丸ごとやらせる。禁じられているのはこの形である。頼む側から見ると、契約書に並んだ商号と、鍵を持って現地に来る人の所属が違う、という状態になる。

罰は、無登録で営業した場合と同じ列に並ぶ

第72条は、1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその併科を定めている。名義を貸した者は第3号に当たる。

同じ条の第1号は、登録を受けずに住宅宿泊管理業を営んだ場合である。番号を持たずに営むことと、番号を貸すこと。この二つが同じ条の同じ刑に置かれている。

なぜ同じ重さなのか

名義を借りた側は、登録の審査も、5年ごとの更新も通っていない。借りた側から見れば、無登録のまま営業しているのと変わらない。法はそこを同じものとして扱っている。

清掃を外に頼むのも名義貸しなのか

違う。第35条はこう書いている。

住宅宿泊管理業者は、住宅宿泊事業者から委託された住宅宿泊管理業務の全部を他の者に対し、再委託してはならない。

禁じられているのは全部の再委託である。一部を外に出すことを、この条文は禁じていない。

当サイトは掲載社にご確認をお願いし、いただいた回答をそのままページに反映している。2026-09-03の時点で19社からご回答をいただき、そのうち17社が対応業務を書いてくださった。清掃を業務として挙げたのは15社。そのうち「手配」——自社ではやらず外に頼む、という書き方——を選んだのは2社だった。「内製」と書いた会社も1社ある。

残る12社は、自社でやるのか外に出すのかを書いていない。隠しているのではなく、頼む側がそこを聞かないから書く欄が無い、というだけである。ただ、全部か一部かの線は、この書き方の差のところに引かれている。

登録簿を眺めても、名義貸しは見えない

当サイトは国土交通省の登録簿から4,658社を登録番号つきで転記している。このうち番地まで記載があるのは4,570件。そこで住所が完全に一致する登録を数えると、71件だった(35の組。34組が2件ずつ、1組が3件)。

71 / 4,570

同じ住所に別の登録が同居している例は、全体の1.6%しかない。しかも住所が同じであること自体は何の問題でもない。貸事務所に複数の会社が入っていることもあれば、資本関係のある会社が同じフロアにいることもある。同じ商号を持つ登録が2件以上ある商号も11あったが、これは別法人の同名にすぎない。

登録簿の側に手がかりは無い、ということになる。名義貸しは、登録簿の記載としては正常に見える。番号も商号も所在地も、本物だからである。

手がかりは契約書のほうにある

法律は、契約の前と後で二度、書面を出させている。第33条が締結前の書面と説明、第34条が締結時の書面である。第34条が挙げる記載事項には「住宅宿泊管理業務の実施方法」が入っている。

実施方法を書けば、誰がどこまでやるかが紙に出る。締結前に説明される項目については見積書は、法律が出せと言っている紙ではないにまとめた。

番号のあとに続けて聞くこと

現地に来るのは契約するこの会社の人か、別の会社の人か。別の会社に出す業務があるなら、それはどれか。その会社の名前と役割は、契約書のどこに書かれるのか。三つとも、契約時の書面に書かれる内容の確認である。

処分は公告される

第42条第1項は、法令に違反した住宅宿泊管理業者について、国土交通大臣が登録を取り消すか、1年以内の期間を定めて業務の全部または一部の停止を命ずることができると定める。処分をしたときは公告しなければならない(第44条)。その命令に違反すれば、6月以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金である(第74条)。

委託した家主の側にも及ぶ。第11条第1項は、家主不在型の届出住宅について、管理業務を一の住宅宿泊管理業者に委託しなければならないと定めている。委託先が業務停止になれば、その体制は続けられない。どちらの型に当たるかの境目は民泊の管理を自分でやれる条件と、委託が必要になる境目に書いた。

ここから先は条文だけでは決まらない。名義を貸した会社が第30条に違反することは読める。一方、名義を借りた相手が実際の業務をしていた場合に、委託した家主が第11条を満たしていたことになるのかは、条文の文言からは一義に定まらない。判断するのは行政である。無登録の相手に頼んでしまったときに何が起きるかはその管理会社、登録されていますか?無登録業者に委託する3つのリスクにまとめてある。

登録番号を聞くところまでは、多くの人がやる。番号の読み方は住宅宿泊管理業者を選ぶとき、登録番号のどこを見るかにある。その先に、まだ聞いていない一言が残っている。「この契約で、実際に現地へ来るのはどちらの会社の方ですか」。答えに二つの社名が出たとき、そこから先は第35条の話になる。全部なのか、一部なのか。

この一言をどう切り出せばいいか迷う場合は、無料相談で契約書の記載を一緒に確認することもできる。

出典

  • 住宅宿泊事業法(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/429AC0000000065)第30条(名義貸しの禁止)・第35条(住宅宿泊管理業務の再委託の禁止) 取得日2026-09-03
  • 同法 第11条第1項(管理業務の委託)・第33条(締結前の書面の交付)・第34条(締結時の書面の交付)・第42条第1項(登録の取消し等)・第44条(監督処分等の公告)・第72条(罰則)・第74条(罰則) 取得日2026-09-03
  • 当社の集計(掲載4,658社の登録簿転記から、番地まで記載のある4,570件の住所を突き合わせ) 集計日2026-09-03
  • 当社の集計(掲載社のうちご確認の回答をいただいた19社、対応業務のご記載があった17社の記載語) 集計日2026-09-03
  • 国土交通省 住宅宿泊管理業者 登録簿(原本のURLと取得日は各社ページに記載)
  • 個別の契約や体制が法令に適合するかどうかの判断は行政が行います。当サイトは公表登録簿の転記であって、個別の判断を行うものではありません

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